ポールプランター



ポールプランター(改良版)の製作手順を説明いたします。
[1]概要
写真は2台構成です。同一のものを2台作り、底部のビニールパイプで連結しています。ポンプは1台、片側のプランタータンク内に入れており、分岐管でφ4mmの黒色ビニールパイプ4本に分水し、2M上の塩ビパイプ内上端に給水します。養液はパイプ内部につりさげられた栽培床を通り栽培床の外周を覆った防根・透水シートを濡らします。そしてシート表面に根付いた植物に水分と養分を与えたのちプランタータンク内に自然落下し戻ります。塩ビパイプは差し込み式で1本ずつ取り外し、清掃が可能
仕様;52株/一本、高さ2m、幅はプランターサイズ。
1)改良内容
①オリジナルのポールプランターはエヤーリフト式ですが、私の実験結果では信頼性確保が難しいと判断しました。先輩方のブログを見ても配管つまりが良く起こるとの評価です。オリジナルの先端は噴流が見える様に透明になっていますが、これは常時噴流を確認する必要があるからだ、と推測します。この透明部分は実使用時にはミズゴケが発生し、苦労します。それで私は単純確実な水中ポンプを使用することにしました。これにより信頼性が向上し、パイプ先端部は完全にフタをして、ミズゴケ発生を防いでいます。
②内部構造の工夫 オリジナルは不織布を短冊状に切り内部に吊るす構造ですが、シャワーの掛け方で養液が偏って万遍なく行き届かない。メンテナンスが大変。植替え時には根が不織布に絡まり不織布全体を取り換える必要があると思いました。 私の工夫点は保水性の高いマイクロファイバーの布を使い養液の保水性を高めた事。吸水・防根シートを外側に使い植物の根が保水層に侵入を防止した。 これにより、掃除が簡単、内部構造物の交換が不要となりました。 又2Mと高い栽培装置ですが、台風の時もプランターに多い目に養液を入れ安定させたら倒れなかった。

尚、ポールプランターは不織布を使って苗を種から栽培した苗床のまま使用するのが前提です。 市販の苗を購入して土を洗い流して使う事は困難です。苗床の作り方は水耕栽培入門(実践編)
[2]製作編    青字は左サイドのアマゾン・マイストアで購入できます。
1)材料――2ポール仕様 1台分
①VU50塩ビパイプ 2M       2本
②TS塩ビキャップVU50用      2個
③TS異形継手50*60    2個
④マイクロファイバー雑巾 幅40cm*長さ60cmが6枚
⑤透水・防根シート20cm*2m/一本当たり。 
水分岐管(園芸、分岐給水用品) 1個 
⑦φ6mmステンレスパイプ長さ70mm/一本当たり
⑧底が平らなプランター;幅広薄型を選んでください。 アイリスオオヤマの菜園プランター650型がぴったりでした。幅64cm奥行38cm高さ23cm あまり幅の狭い深底プランターは不安定です。 ⑨5mm厚ベニヤ板(選定したプランターサイズに合わせてください)
⑩φ4mm黒色ポリエチレンパイプ2.5m/1本当たり*2本
⑪4mmL字継手                      2個
⑫30cm程度の径の植木鉢受け皿           2個
水中ポンプ(揚程2M以上)  エーハイム1000が良いと思います。 1台
   (注;エーハイム1000は50Hz,60Hz別です。両方ともAmazonマイストアに掲載しています)
24時間タイマー15分間隔でON/OFF制御できるもの         1個  
以上のような材料です。

2)塩ビパイプの穴明け

①栽培用穴φ21mm、円周上4カ所、ピッチ120mmの穴をあける。円周上の穴はスパイラル状に30mmずらして開ける事。円周方向同一円上に穴が並べば植物の根同志が干渉する為。 最上端の穴は端面から60mmの所からスパイラル状にあけていく、下端はプランターの高さにあわせる。
②上端面から30mmの所に栽培床部を吊るすφ6mmパイプを固定する為のφ6mm穴を上端の栽培穴から90度ずらして水平にあける。開けた穴の一端はφ6mmのステンレスパイプが塩ビパイプの上端から挿入出来る様にヤスリなどで穴を斜めに広げる(これがシングル段取りの工夫です) ③下端から1cmの所に水をプランター側に流す穴φ10mm程度1カ所あける。

2)内部栽培床部の製作
①雑巾3枚をつなげ180cmの長さの栽培床を作ります。雑巾の40cmの所を合わせ、縁を縫います。裁縫用語でかがり縫いという方法です。使用する糸は化繊糸を使ってください、木綿糸では長時間水分にさらすと溶けてきれてしまいます。
②中に芯となる物をいれ、端を丸めます。単2電池丁度良い大きさです。
③円筒にした端面をかがり縫いします。 ④栽培床をつりさげるピン用の穴をあけます。少し強引ですが私は半田ごての先で溶かし、穴を開けました。化繊はプラスチックですので、穴の周囲が固まりメンテナンスでピンを抜いた後など差し込み易く、使い勝手が良くなります。
⑤ピンを通し両端をかがり縫いして、上の穴を閉じます。完全に閉じると、ノズルチューブが入らなくなります。
⑥栽培床を包む、防根・給水シートの筒を作ります。
20cm*2mに切った透水・防根シートの長辺を2枚に畳み、1cmの綴じ代でホッチキス止めをして、約φ50mmの円筒を作る。その片方だけ端部もホチキスで閉じる。出来た袋を表裏をひっくり返す。

⑦内部に給水する為のφ4mmビニールパイプの製作

φ4mmビニールパイプ(給水パイプの切れ端でよい)を10cmの長さに切り、一端を丸箸の先等で栓をし、側面に1~2mm程度の穴を多数開ける。穴明けは太目の針をライター等で熱して開けると良い。
⑧マイクロファイバーの栽培床に挿入したピンを外し棒状にまるめながら、防根・透水シートで作った袋の中に挿入する。
⑨透水・防根シートの端面に穴を開け給水用ビニールパイプの栓をした方をマイクロファイバー栽培床の内側に通す
⑩φ6mm吊り下げ用ステンレスパイプを端面に通して栽培床セットが完成です。

3)VU50mmパイプを垂直に支える為のTS異径継手の追加工
TS異径継手の小径側のパイプ端の所(写真の所)をヤスリ等で削り取りφ50塩ビパイプがスムーズに通る様にする。
読者からの情報で、のこぎりの刃を当てて削り取る様に切り取り、それからやすりで仕上げると楽に加工できるとの事です。

この異径継手とプランターの底で2Mのパイプを支える構造ですので、削り過ぎず、しっくりと通る様に追加工する。(結構時間が掛かります)

 4)上部フタの製作  VU50mm塩ビパイプ用のキャップの中心にφ4.8mmの穴をあけ、キャップの中心にL型継手を取り付けます。


5)プランター・タンク部の製作

①平底プランターを選びます。 まず5mm板厚の合板をプランターのサイズに合わせカットします。2枚作ります。 写真は防水の為、アルミホイルを上面に接着していますが、防水塗料の方が良いと思います。
②5mm厚の合板には異形継手の小径部を挿入する穴φ67を開けます。
穴明け位置は塩ビパイプを差し込んだ時にプランターの側面に干渉しない位置で、できるだけ、ポール間の間隔を広げられる位置に明けます。大径の穴となるので、糸鋸等を使います。 開けた穴に異形継手を差し込み、接着剤で固定します。



私が使ったのは写真の様な穴明け工具です。
この工具を使うには少し注意が必要で、歯先を食い込ませすぎると反動でトルクが掛かり、手首を痛めかねませんので、しっかり両手でドリルを固定して、少しづつ食い込ませる様にする必要があります。
③プランターのふちの支柱取り付け穴を貫通させ、異形継手を取り付けた合板をボルトでプランターのヘリにボルトで止めます。5mm程度のボルト3本で充分です。
④真ん中の緑色の板は点検用のフタです。100均で手に入る発泡ポリスチレンの板で作りました。やや大きめに切り、隙間なく固い目に収まる様にします。






⑤植物を水平方向に栽培しますのでどうしても葉を通じ養液がわずかですが落下します。 これを受ける皿を取り付けます。材料は100均で売っている植木鉢の水受け皿30cmに異形継手の大径よりやや小さい穴をあけた後、異径継手の大径側に接着します。



6)組立
①栽培床セットをVU50塩ビパパイプに取り付け、給水ノズルを栽培床の中に挿入し、フタに取り付けたL字継手に接続して、フタをパイプにセットします。
②すべてセットしたVU50塩ビパイプをタンクに挿入します。
③φ4mmパイプ2カ所に分岐する分岐管、水中ポンプを取り付け、VU塩ビパイプフタのL字継手に給水パイプの先端を接続します。配管、配線類は点検フタを切欠いて外に出します。 写真は我が家の4本ポールの装置に供給する為、分岐管を外においていますが、2本仕様ではタンクの中に置いた方が、外観がすっきりします。

7)ポールプランターへの苗の定植
苗の育苗方法は水耕栽培入門(実践編)をご覧ください。
苗床の首の部分を幅3.3cm長さ30cmのエヤーキャップで巻きます、この時あまりきっちり巻か無いのがコツです。



丸箸を使い、不織布の苗床をポールプランター内の栽培床に密着、沿わす様に挿入していきます。そして、エヤーキャップの半分程度が塩ビ穴に掛かる程度に指と箸とを使い押し込み苗を止めます。エヤーキャップをやや上向き加減に挿入するのがコツです。

 8)運転
24時間タイマーを介して電源につなぎ、水が外に漏れないか、栽培穴に指を突っ込んで防根・透水シートが一様に濡れている事を確認できたら完成です。 タイマーは夏場の日中は15分インターバル、夜は30分休止、15分運転、春秋は15分/1Hrなど、植物の生育の状態を見ながら調整します

8)使用材料補足;購入先 
1.本体のプランターの要件;
①当然ながら水を貯める為にスノコ底は駄目、水栓付の構造が必須
②垂直ポールの下端をプランター底で支える為、底が平らな構造。
③2Mのポールを支える為、浅底、幅広の構造。
④5mmの板をボルト締めできる丈夫な上縁構造。 
この条件に合うプランターを探したらアイリスオーヤマの菜園プランター650型がぴったりなのでこれを選びました。

2.水中ポンプについて。 先達のブログを拝見し、風呂用ポンプを最初使っていましたが、2か月程で故障しました。このポンプの説明書には連続使用しないでください、総使用時間180Hrとの注意書きがありました。
ポンプの選定は揚程(水をくみ上げる高さ)が重要。私は2Mのパイプそのままの高さで使いましたので揚程2M以上の水中ポンプを選定しました。 尚このポンプは排出能力が高く、連続運転すると、パイプ内部の保水能力をオーバーし、養液がパイプ外にあふれます。プランターを増設すれば良いのですがプロでも無いし、4本仕様でも収穫物が食べきれないので解決策として24時間タイマーで間欠運転しています。省エネにもなり一石2丁です運転は季節によって調整します。