究極の自動給水システムの製作



水耕栽培成功のポイントの一つは水を切らさない事です。方法は

①水位を知る為に浮きで作った水位計を付けて減ったら手で補給する。
これは常時水位計をチェックする必要が有り、水の補給も大変です。水を枯らさない様に家を空ける事などできません。

②ポンプ+タイマーで補給する方法。
これも植物の吸水量を適当に判断する事なので、水を溢れさせたり、吸水量に追いつかず水不足になったり、不安定です、電気配線が必要で且つ装置が高くつく。

③ポンプ+フロートスイッチで水供給する。
これは確実な方法ですが、フロート・スイッチは結構故障が多く電気配線が必要で且つ装置製作が大変高くつく。

これらの欠点を解消したのが水奴隷から解放される魔法の装置として私が考案したミニフロート式自動水位調整器です。
高校の物理の時間で習ったサイホンの原理の応用です。
「容器をホース等で連結して水を入れると水は水位の高い所から低い所に移動しやがて同じになります。」この原理です。

上の写真の真ん中の透明な容器の中に手のひらに入る大きさのミニフロートが入っています。トイレのタンクの水位を保つボールタップの小型版です。
このミニフロートの入った装置を自動水位調整器と言います。
ミニフロートを介し水を供給すると水位が上がりフロート部を押し上げてフロートに連結した止水弁が働き水が止まりそれ以上水位が上がりません。自動水位調整器と3台の栽培槽が繋がっている為に4者の水位は同じになります。

栽培中の植物が吸水して水位が下がるとサイホンの原理が働き水位の高い栽培槽から水が移動しますそしてフロートが下がり水がタンクから補給され水位を常に一定に且つ連続的に保ちます。
ミニフロートは50cm以上高い所に設置した養液タンクとホースで連結しており、養液タンクの水が無くなるまでこの仕組みが働き栽培槽の水位を一定に保ちます。
養液タンクをおきくすれば家を空けても大丈夫、電気もポンプの要らない正に魔法の水供給装置
です。
この3年間この装置を使い随分と水補給が楽になりました。
我が家では19カ所給水必要な栽培装置がありますが、防虫網に囲まれたベランダの養液タンク2台に給水するだけ、やぶ蚊に悩まされず助かっています。
ただ一つの欠点は4mmのチューブと4mmの直継手を使う為に配管詰まりが良く起こる事です。
特に我が家では風呂の残り湯を使う為に余計詰まりが起こる確率が高くなりこの改善を進め、目途が立ちましたので究極の給水システムとして紹介します。

(1)プランターと自動給水装置の連結方法

20L以上の大きさのプランターあるいは同等に容器を選びます。連結部品を取り付ける側面が平滑なものがベストですが大概のプランターは側面に強度アップの為の模様が入っていますので取り付けの邪魔になるので止水の為のシール剤塗布が必要です。

自動水位調整器にはプランター3台を連結できます。配置は上の写真がベスト、自動給水器から離れる程、水の移動に時間が掛かります。レイアウトの都合上、中に自動水位調整器が置けない場合は端でも仕方ありませんが今回の15mmホースを使った方法では殆ど気にならない程度です。



プランターをパイプ連結する部品は塩ビパイプの連結部品を使います。(上写真)

材料は
端用にはTS給水エルボー13(左側)、中間の両側連結用にはTS給水チーズ13(右側)を使い両方ともTSバルブ13をネジ代わりに使います。そして止水用に20.8mmのOリング、止水補助にシリコンコーキング剤を使います。
それから連結用15mmゴムホース(防藻タイプ)。
TS13継手には15mmゴムホースを押し込むだけで完全に繋がり水漏れしません。
穴明けに使うのは21mmホールドりルーー薄板に21mmの穴を開ける工具です。
材料、工具共ホームセンターで入手できます。

製作 


追記)(2015・4・30)

ポリプロピレン製の容器は厚み1.5mm程度、電動工具で力を加えると容易にクラックが入ります。電動工具でクラックが入らない加工方法ーーコツは

①まず穴の中心をサインペン等で印を付けます。容器の底部側面に開けますが、TS13チーズ(又はエルボー)とTS13バルブを組み付ける為に底面からの位置に注意ください。
②穴の中心にドリルに先端をあて、まずガイドドリル部だけ穴を開けます。外側の21mm分まで一挙に開けるとクラックが入ります。
③電動工具を少し傾けながら、21mm分を万遍なく全周に少しずつ筋を付けていく様に切り込みを入れていきます。少しずつ、少しずつ溝を深くしていき、貫通させます。
④あとはカッターナイフやヤスリでバリを取れば穴明けは完了です。
プランター材料は粘っこいので一気に開けて大丈夫です。


①プランター、自動水位調整器の側面下の方平らな所を選び21mmの穴を開けます。あまりしたギリギリに開けると水漏れ発生時にコーキングするのに指が入らなく苦労します。

②穴のバリをカッターで綺麗に取り除いた後、連結部品を組み付けます。Oリングは給水エルボ、給水チーズ側に付けしっかりとバルブをねじ込みます。

③プランター側面は模様があり止水が出来ていませんので周囲をシリコンコーキング剤で止水しま
す。自動水調整器の容器は平滑ですのでOリングだけでOKです。

④配置を考え、ゴムホースの長さを決めます。継手への挿入長さは15mm程度です。
 ゴムホースを挿入する継手とホース外径に洗剤を付けるとスムーズに奥まで挿入出来て水漏れはありません。

⑤水漏れテストをして栽培装置と自動給水器の連結は完了です。

栽培装置のフタや保温シートエヤーバブリング穴等の加工法は別記事「水耕栽培入門に適したブクブク式栽培装置の製作」を参照ください。


(2)ミニフロート注入口の追加工


次はタンクからミニフロートへの配管です。写真はミニフロートの入り口のL字継手です。4mmのポリエチレンチューブを簡単に接続出来る様に雄・雌のネジでロックする構造になっていますが、究極の自動給水システムは4mmチューブの代わりに内径9mmのでゴムホース(内側が黒く光を透過させないタイプ)を使います。
この9mmのゴムホースをネジロックを使わず直接L字継手に繫ぐ為、少し手間ですがネジ山をカッターナイフ、ヤスリで削り取ります。(写真左の様に)
削る前のネジ山の外形は11.6mmあり9mmホースを繫ぐには無理が有り、又ネジ山を通じ水漏れの可能性があります。ネジ山を削り取ると外径が10mmになり少しきついですが9mmゴムホースが繋げます。
自動給水装置本体の製作は別記事を参考にしてください。底の部分の4mm継手の代わりに(1)の連結部品を底部側面に取り付けます。



ミニフロートに繫ぐ養液タンクは出来るだけ大きなゴミバケツを選びます。風太くんは45Lのフタ付ゴミバケツを選びました。ゴムホースの外形13mmなのでゴミバケツの底側面部に12mmの穴を開け直接ゴムホースを押し込みます。そのままでも水は止まりますが念の為にシール剤でコーキングします。

栽培装置を増設する場合はホームセンターの水道用品コーナーで売っている半透明の8mmT字継手を使い連結していきます。

(3)ミニフロートのパワーアップ

ミニフロート式自動給水器は水奴隷から解放される魔法の装置ですが、この記事の様に配管系をパワーアップした後、残るのはフロート自体の給水能力アップです。ミニフロート内部の止水栓の部分の穴径は1mm程ですので、1m程度の水位で繫ぐと滴がポタポタと落ちる程度の流量です。
この為、夏場のゴーヤ等水を多量に吸水する植物ではやや非力です。
観察すると昼間は給水能力不足で水位が上がり、夜に回復するという繰り返しですので植物に適当なストレスを与える効果は有るようですが、人間様には精神衛生上好ましくありません。
そこでパワーアップ法を考えました。

①パワーアップ第1弾ーー穴径を2mmに拡大する。(これで供給能力が4倍になります)

ダイソーの日曜大工コーナーに 2mmと2.5mmの手動穴明け工具セットが売っています。
ミニフロートのピンを抜き(簡単に抜けます)ネジの付いた側から(栓の側から穴を開けると失敗します)穴にドリルの先端を当ててドリルのセンターが傾かない様、慎重に拡張していきます。
そして内部にバリが無いか確かめて再組立てして完成です。今まで10個テストしましたが不
良”0”でした。
これでゴーヤ君を完璧に満足させる事が出来ました。
②項の究極のパワーアップ第2弾は新入荷の直径45mmのフロート付きミニフロートに適応します。旧タイプの40mmフロート付きでは止水力が弱く水漏れの可能性があります。

②究極のパワーアップ第2弾ーー穴径を5mmに拡大する。(これで供給能力が25倍にjなります)
ここまでしなくて良いと思いますが、究極を極めたい方は挑戦下さい。



ミニフロートはピン1本を抜けば4部品に簡単に分解できます。
手順は
①内径5mm外径6mmのステンレスパイプをホームセンターで入手。
②パイプカッターで15mmの長さに切断する。
③切断したパイプの1方の切断面を油砥石で慎重に研磨し端面を滑らかにします。
この部分で止水弁と接し水のON/OFFを制御しますので密着する様に滑らかにします。
更に外周端のエッジ部をやすりで落とし、密着部の面積を1/2程度に落とします。
③鉄工用ドリル13本セット(1200円)で2mmから順番に0.5mmずつ穴を広げて行き、最後に6mmのドリルを通す。本体の中心に沿って慎重に開けてください。
④15mmステンレスパイプの研磨した部分の近辺に万能接着剤を端面に付かない様に塗布してミニフロート本体側のネジの部分から挿入する。この時、接着剤が内側ネジ部に付着しない様に注意する。
⑤パイプが本体内端から僅かに出る所まで挿入して、接着剤が乾くのを待つ。このわずかに出ているかどうかは爪楊枝の先などで確認します。出過ぎるとフロートの水止栓の可動範囲が狭くなり機能しません。
⑥あとは再組立てです。これで水路が5mmのパワーアップ型ミニフロートが完成します。給水能力は計算上25倍です。実際使ってみるとフロートが効かないフリーな状態では水が勢いよく流れ、フロートが効くと今まで通り止まります。