新発想の底面灌水式栽培装置の製作



底面灌水式栽培は養液皿の上に、吸水紐などを垂らした培土を入れた容器を置き、植物は毛管現象で養液を吸い培土の隙間から酸素を吸収る仕組みです。
長所は根菜類を栽培可能、エヤーバブリングが不要
欠点は市販の底面灌水プランターは非常に高価、簡易式では養液皿にボーフラが発生する。養液の供給が面倒
という事です。
この欠点を克服すれば超万能な栽培装置となります。この栽培装置は石川県在住のお友達に作り方を教えて頂き、記事掲載の許可を頂いたものです。
装置のポイントは
①底面灌水の養液部が完全密閉式
②ミニフロート式自動給水装置により、養液供給の省力化
です。
上の写真は実際稼働中の底面灌水式栽培装置です。ホームセンターの一番安価なプランターを使用して栽培装置をつくり、それを給水パイプ+自動給水装置に連結して多種類の植物栽培に利用しています。水耕栽培愛好者にとってまさに夢に見る光景です。

早速製作に取り掛かりましょう。

1、栽培装置部の製作

  

材料:
プランター(ホームセンターで一番安いもの)、発泡スチロール板2.5cm厚、吸水シート(フエルトなど)、透水防根シート、TS給水バルブ(オスネジソケット)

 ①給水ソケットの取り付け





プランターの排水穴を半田ごてで拡張して、13mmのオスネジソケットをねじ込むための穴を開ける。
小さめの穴を開けて半田ごてを廻しながら拡張する感じ、穴が大きいと液もれがするので、小さめにして、熱で溶けている所をねじ込む感じに。
13mmのオスネジソケットをねじ込み、プランターとの接合部内外をコーキングでふさぎ水漏れ対策を施す。ソケット外れを心配される方は内側からTSバルブをねじ込んでください。

②栽培層内部の仕上げ




・発泡スチロールでネットの高さを上げて、養液室を作る。厚さ2.5cmを使いましたが、お好みで貯水量を増減ください。

・底面ネットを乗せて、フエルト(吸水性のある素材)をプランターの両端から、底からネット上に敷く、両端から毛細現象で吸い上げ、全体に染み渡る感じに敷く。吸水材は東洋のジャムガード(超高吸水シート)がベストですが、100均で入手できる、フエルトやキルト芯でもいけると思います。

・透水防根シートを敷く。培土を5cmほど入れる事の出来る大きさが必要です。透水防根シートは東洋紡のものがベスト。

・プランター側面は段ボール、アルミ蒸着保温シートなどで遮光した方がプランターが長持ちします。
(なくても良いかもしれません)

・培土を入れるのは全体が完成して、個々の栽培装置の高さ調整後にします。

2.給水ラインの製作



給水の主ライン配管と、枝分かれして栽培装置に連結する自在継手をつくります。

材料:
13mm塩ビパイプ、チーズ継手、エルボ継手、エンドキャップ、15mmビニールホース(防藻タイプ)など栽培装置の数、レイアウトなどで個数を決めてください。写真をご覧いただいたら作り方は容易に理解いただけると思います。

①自在継手の製作(上の下写真)
10cmに切断した塩ビパイプ2個とビニールホースで自在継手をつくります。ビニールホースは18mmが適当ですが、入手の容易な15mmホースに油などを付け無理やり押し込んで作りました。

②給水主ライン配管の製作

写真の様に塩ビパイプで作っても、15mmビニールホースで作っても良い。ビニールホースの方がレイアウトの自由度があります。15mmビニールホースは13mm塩ビ継手にぴったり(ややきつい目)に挿入でき水漏れはありません。塩ビパイプで作る場合も継手との接続は挿入するだけで水漏れはありません、後々のレイアウト変更を考慮して、接着剤を使用しない方がよいと思います。

3.ミニフロート式自動給水装置の製作



栽培装置の水深は3cm程ですので給水能力を確保する為に、底面積の広い容器で自動給水装置を作ります。
ミニフロートの内部穴は2.5mmに拡張します。(この底面灌水装置の製作を教えてくださった方は3mmに拡張して問題ないとの事ですが私の実績のある2.5mmとします)
容器側面の底面ぎりぎりの所にプランターと同様に半田ごてで穴を開け、13mmオスネジソケットを取りつけコーキングします。写真の自動給水装置で10台以上のプランターを接続して栽培可能という事です。
ミニフロートは蓋に取り付ける垂直取り付けとフロート部を移動させて側面取り付けの方がありますが写真の様に側面取り付けの方が水位調整に良いとおもいます。
ミニフロートの制御水位と栽培装置の水位は同一になりますので、給水装置の水位を10cmとして、栽培装置に7cmのゲタを噛ますと丁度良い。
ミニフロートと補給水タンクの設置は私の別ブログ「水耕栽培装置自作教室」の中の「究極の自動給水システムの製作」を参考にして9mmホースで給水します。
写真ではエヤーポンプでバブリングしていますが、効果の程は不明です。余裕があれば設置ください。

4.全体の水位調整

システム全体が組みあがったならば、栽培装置の高さ調整をします。
一旦、栽培装置の吸水フェルト、透水防根シートを取り外し、底面ネットと発泡スチロールのゲタだけにして、発泡スチロールが浮かび上がらないように石を載せます。水位は底面ネットより下ぎりぎりになる様にプランターの底に発泡スチロールの板などを噛まし調整します。すべての栽培装置の高さを調整してから、
吸水フエルト、透水防根シートを取り付けて培土を5cm程入れて完成です。

培土資材としてはヤシガラ、バーミキュライト、日向土(細粒)を組み合わせます。日向土だけの場合、吸水が悪く乾燥し易いという事です。